別にに軽くあしらわれることには慣れている。
 一度や二度や三度や四度…とにかく、いちいちへこたれてたまるか!
 食堂での一件以来、八左ヱ門と勘右衛門から同情めいた優しさを受けるようになった。
 頼むから余計なことはするなよ、お前ら!
 そして兵助、励ましてるつもりなんだろうが豆腐はいらん!差し出してくるな!!
 いつも通りなのは雷蔵だけだ。ありがたい。
 …そういう性格までの好みだったらどうしよう。勝ち目がないじゃないか!
 だが、こんなところで諦めてたまるか。

、入るぞ」
「三郎、くのたま長屋は男子禁制って言ってるじゃないですか」
「聞いてる聞いてる」
「…仕方ないですねえ」

 ここで強制的に追い返さないのは、こいつなりの優しさなんだろうな。
 ふーん、勉強中か。そういえば明日座学のテストがあると言っていたな。熱心なことだ。

「………………」
「………………」
「………………」
「…
「…なんですか?」
「暇だ」
「今日は相手できませんよ」
「でも暇だ」
「…なら天井のシミでも数えておいてください」
「……………」

 、お前今日はいつもに増して冷たくないか!?
 袖を引っぱったら頭を撫でられた。私は小さな子どもか。
 いつもなら「仕方ないですねえ」とか言ってこっちを向くのに、今日は全然こちらを見ない。
 …面白くないな。

「三郎」
「っ、なんだ!?」

 なあ、どうしてお前は気づいてくれない?
 私の気持ちはこんなに分かりやすく、お前に向いているというのに。

…」
「集中できないので、今日は帰ってくれませんか?」
「………………」
「三郎?」
「…分かった」



リトライ



 が何か言いたそうにしていたが、返事を返すだけで精一杯だった。
 そろそろ本気で泣きたい。





'11.7.15〜'11.8.3 拍手公開。