私、別に頭は悪くもなければ良くもありません。
 運動神経も前世よりは上がってますが、忍としてはまだまだです。平凡です。
 テストだって勉強しないとひどい点数になりそうで怖いです。
 怖くて試したくもありません。
 第一私が忍術学園に通えるのは頭領、三郎の父がお金を出してくれているからです。
 下手な成績を残したら頭領に顔向けできないですし、学園に通えるよう取り計らってくれた三郎の顔に泥の塗ることになりかねません。
 それは絶対ごめんです。
 だからテスト前はテスト勉強に必死なんですよ。
 三郎には申し訳ないですが、今日は話し相手になれないです。

、入るぞ」

 何故このタイミングで来るんですか。明日テストだって伝えたはずですよ。
 というか言いながら障子開けないでください、三郎。人の注意を聞かない人ですね。

「三郎、くのたま長屋は男子禁制だって言ってるじゃないですか」
「聞いてる聞いてる」
「…仕方ないですねえ」

 聞き流してる、の間違いだと思うんですけど。言って聞きそうにありませんね。
 仕方のない人です。今日は話し相手になれませんよ?

「………………」
「………………」
「………………」
「…
「…なんですか?」

 さっきから視線が痛いです。集中できません。

「暇だ」
「今日は相手できませんよ」
「でも暇だ」

 このわがままっ子め。

「…なら天井のシミでも数えといてください」

 そうしたら、暇はつぶせますよ。

「………………」

 ちょいちょいと装束の袖を引っぱられました。私の提案は無視ですか?
 分かりやすい構ってという合図は、大変可愛らしいです。頭を撫でたら視線が強くなりました。
 でも駄目なものは駄目なんです。
 目先のことにとらわれて、大事を見失うことはあってはならないことです。
 ここは心を鬼にします。

「三郎」
「っ、なんだ!?」

 反応がいいですね。そんなに退屈ですか?

…」

 そんな縋るような声で呼ばないでください。
 決心が鈍りそうじゃないですか。けど、ここは我慢です。

「集中できないので、今日は帰ってくれませんか?」

 その分、明日はいっぱいお喋りしたいです。

「………………」

 あれ?

「三郎?」
「…分かった」

 あれ、言い方まずかったですかね?でもはっきり言わないと押し問答になりそうでしたし…。



リトライ



 そんな青白い顔して、もしかして体調が悪いんですか?
 健康管理もしっかりしてるはずですが油断は禁物ですよ、三郎。
 明日テストが終わったら、様子を見に行ってみますか。





'11.7.15〜'11.8.3 拍手公開。