別にに「私以外の忍たまと話すな」とは言わない。現実的に無理な話だ。
 それに私は兵助や勘右衛門、八左ヱ門とそして雷蔵とよく一緒にいる。
 だからが私を通じて彼らと知り合うのは分かるし、友人になるものおかしくはない。自然な流れだと思う。
 しかし、今の状況は大変面白くない。
 せっかく夕飯を一緒に食べようと誘っていい返事をもらったというのに、は目の前にいる雷蔵ばかり見ている。
 隣に雷蔵に変装している私がいるのに、だ。
 声をかければこちらを振り向くが、それ以外は前を向いたままだ。
 くっ、一体何が不満なんだ!?
 ふと視線を感じて振り向けば、八左ヱ門と兵助、勘右衛門と雷蔵までが私達を見ていた。
 皆一様に生暖かい視線を送ってくる。…まあ、全員私の気持ちは知ってるからな。
 というか、これだけ分かりやすいのに何故当のは気づかないんだ!?
 八、ニヤニヤして私を見るな!
 も雷蔵を見て笑うな。私を見ろ!
 思わず手を伸ばしての顔を私の方へ向けていた。
 「つっ」とか聞こえたけど、このさい無視だ。
 自分勝手なのは百も承知だが、もっと私を見てくれ。

、雷蔵ばかり見ていないで私を見ろよ」
「三郎…」

 ああ、キョトンとした顔も可愛い…

「向かいは嫌だと言って隣に来いと言ったのは貴方ですよ?」

 ………………。

「それにずっと横を向いて食べるのは行儀が悪いです」
「「ぶっ」」

 勘右衛門と八左ヱ門が堪えきれずに吹きだしやがった。笑うな左右!!
 確かに向かいだと距離が空くから嫌だと言って隣に呼んだが…、そんな弊害があったか。
 だがそれよりもな、…、

「お前には情緒ってものがないのか!?」
「うるさいですよ、三郎。余計なお世話です。
 それに食事中お喋りするのはいいですけど、大きな声は他の人に迷惑です」



撃沈



 …ほっんと容赦ないな、お前!!
 いいんだ、雷蔵。そんな心配そうな顔しなくても、こんなのはいつものことだ。
 これくらいでへこたれてたまるか。
 勘右衛門、八左ヱ門、笑うなとは思ったがそんな同情の眼差しは余計だ。
 兵助、お前はとりあえず豆腐を食べながらこっちを見るな。
 目力が半端ないことを自覚しろ。食べるか見るかどちらかにしろ。怖いわ!
 は…食事を再開してる。
 おい、さっきの私の台詞は無視か。
 いいけどな、それもまたいつものことだ。
 …目頭が熱いのも気のせいということにしておこう。

 大丈夫、まだ時間はある。





'11.7.2〜'11.7.14 拍手公開。