雷蔵達と相談して、三郎の恋を応援しようと言うことになったのは半月程前のこと。
 兵助の案を実行したものの、3日で三郎の方に限界が来た。耐え性のない奴だ。
 空回る三郎を見てるのも面白かったけど、3年も経てばだんだん可哀想になってきた。
 全然相手にされてないよ、お前。
 けどまあ、そんなはっきり言うのも悪いし、ちょっと探ってみることにした。
 遠回しに聞くつもりだったけど、途中で黙り込んだかと思えば突然恋愛相談された。
 誰かと焦ったけど、なんと三郎だった。俺と話してるうちに自覚したんだって。
 えーっ!?何それ!? どういう流れでその結論に至ったのかが知りたいよ!
 …ま、結果的にはよかったかな。
 その後はさんが三郎のところへ行って告白、そしてめでたく付き合うことになったらしい。
 お騒がせな2人だよ、主に三郎が。
 幸せそうな顔がなんかむかつく。さんは…なんか反応に困ってるみたい。
 うーん、抱きついてくるのは嬉しいけど、人前では恥ずかしい、ってところかな。
 告白はどんな感じだったかと聞くと、「好き」っていったら思わず引くくらいの笑顔だったとか。
 しかも返事が「私と夫婦になろう!」だったらしい。重いよ、三郎。
 さんもそう思ったらしく、「重いです」って返したみたい。彼女、三郎に対して容赦ないよね。
 つんでれって言うんだっけ、ああいう性格。
 …それにしても、本当に鬱陶しいな、三郎の奴。あれ、違う?
 幸せなのはいいことだけど、人目も憚らずいちゃいちゃするなよ。しかも一方的に。
 それならこっちにも考えがあるんだからな。

「ね、さん」
「なんですか、尾浜君」

 呼んだらすぐに振り向いてくれた。三郎、そんなに睨むなよ。
 さんの中で告白前の恋愛相談(あれって相談って言うのかな?)に乗ったことで、俺に対しての好感度は上々みたい。

「三郎だけじゃなくてさ、俺達のことも名前で呼んでほしいな」

 にこっと笑顔を向けると、きょとんとした顔を返された。おかしなことは言ってないよ、俺。
 雷蔵や八左ヱ門、兵助もきょとんとしている。うん、3人とも巻き添えだから。

「おい、勘え「別に構いませんよ」…、ーっ!!
「急に叫んでどうしたんですか、三郎。
 うるさいですよ」
「叫びたくもなる! 浮気か!?」
「何故そうなるんです、意味が分かりませんよ」

 2人のやり取りは相変わらず面白い。でも三郎、今は話の邪魔だよ。

「じゃ、これからもよろしくね、
「ええ、よろし「か・ん・え・も・んーっ!!」…よろしく、勘右衛門君」

 嫉妬は醜いよ、三郎。
 それにひきかえわざわざ言い直してくれるなんて律儀だね、は。
 次は呼び捨てで呼んでもらおう。



負け犬の遠吠え



 幸せなんだから、ちょっとくらいからかってもいいだろ?





'11.9.16〜'11.9.30 拍手公開。